以前の記事で、考案者と言われているCatherine Hettinger氏が1993年に出願した特許は
現在のハンドスピナーとは似て非なる物であるとBloombergが主張していると書きました。
では、実際どのように違うものなのかを確認してみましょう。
特許は全6ページです。短くて良かった(笑)
まずは、発明の名称ですが、"SPINNING TOY"、そのまま回転玩具です。
そして、発明者はCatherine A. Hettingger、出願日が1993年5月28日です。
今から24年も前ですね。
そして、起源と言われるその姿がこちら!!
おぉ~。
確かに、Bloombergがいちゃもんをつけたくなる理由も分かります。
本当に起源と言うのが正しいような原始的な構造のおもちゃですね。
円盤型UFOのような形をしている、このハンドスピナーの使い方は、ドーム状部分の内側に指を入れて、反対の手で回して遊ぶ仕組みです。
そして、材質はプラスチック製になっています。
現在の主流である、ボールベアリングの主軸にメタルボディの構造で
ギャンギャン回るものとは似て非なる物であると言えそうです。
また、特許書類の中では分かりにくいですが、実物を見てみるとかなり大きく、指で挟むような持ち方はとてもできないサイズです。
どちらかと言うと、皿回しのような使い方になると思います。
長く回そうとすると軽い運動になって良いかもしれません。
使用例の中では、棒やペンを内側に入れて使っても良いと書いてありますし。
形状的には現在の物と大分違うなぁということが分かりましたが、
特許を読み進めていくと興味深い部分が出てきました。
そもそもどのような思いが込められていたのか?ということです。
これは発明の背景に書かれています。ざっくりと次の通り。
"多くの人は渋滞や、手持ち無沙汰の時、気晴らしをしたくなるもので、
車や家の中で動きたくなったりそわそわするのは普通のことです。
また、禁煙中の人は何か気を紛らわせられる物が欲しくなります。
そのような人達に快感を与えられるのがこの発明です。"
ここでハンドスピナーのアメリカでの名称であるFidget spinnerにもある、"Fidget(そわそわする)"という言葉も使われています。
重症筋無力症を患いながらも娘と遊ぶ手段を考案したという話は有名ですが、
このようなそわそわしてしまう人たちの一助になりたいという思いも、特許から読み取ることができます。
効果がどれほどかについては様々な意見があるものの、
現在のハンドスピナーも、そわそわする人たちの気を紛らわせるのには役に立っているとは思います。
特許の観点から見ると、同一の発明であるとするには厳しい部分があるかもしれませんが、コンセプトの想いを見ると、発案者と讃えられるのにも一理あるのかなと思いました。
なお、Hettingger氏はとしてクラウドファンディング、Kick starterを使って資金を集め、このスピナーをClassic fidget spinnerとして復活させようとしています。
こちらもまた別記事で書こうかなと思います。
さて、特許には実施例と呼ばれる、原案のバリエーションのような物があります。
今回の特許にもいくつかそのようなバリエーションがあって面白いので、
次回の記事で書こうかと思います。